テレポートを使い、ルウ達はセレサの森に来た。
「ね・・ねぇ。こんな所で修行するの?」
ルウはミツを見てそう言うと、またセレサの森を見た。
セレサの森はどこか重々しく不気味だった。
「ああ。ここの奴らはこの国の中でも一番弱いからな」
ルウの質問にミツは即答で答えた。
森の不気味さにはもう慣れたようだった。
「で・・でもぉ・・・」
ルウには自分にモンスターを倒せるという自信がなく、
少し足の速さを遅くした。
そんな様子なルウを見たミツは苦笑いをした。




”虹色の笛”




「大丈夫。この森には人がいるんだ、ウルっていってな強い奴だから
ピンチになった時はウルに助けを求めればいい」

「ウル・・・・?うん、解った」
ミツは、ルウにガターを持たせるとナリナ達とたおれている太い木に座った。





ス・・・ッ

「ガルルルルルルル・・・・!」

「え!何、コイツ!!狼!?」

ルウ達がモンスターを待ってから何分か経って、一匹の狼がルウの前に現れた。
「来たな」
ミツは、ルウがどれくらいの力を持っているのか早く知りたいらしく素早く指を振り、
紙とペンを出した。
そして、ペンの方を掴むと何か数字を書き始めた。
「ちょっ・・どうしたらいいの!!?もうっ、、こっち来ないでよ!!」
狼は、動揺するルウに構わず襲い掛かってきた。
「うわっ!!」
ルウは、噛み付いてきた狼を避けた。
そして、ダガーの刃を狼に向けると思いっきり狼を切った。
「う・・・・・・・」

ペタンと狼は力なく倒れた。
それと同時にルウもしゃがみこんだ。
「ルウちゃんっ、大丈夫??」
「ルウ、平気か?・・・・・無理させたか・・まだ来たばっかりだもんな・・」
「ルウさん。怪我は・・?」
しゃがんだまま動かないルウを見て、ミツ達はルウの元へ駆け寄ってきた。
ナリナがルウの顔を覗き込んだ。
「・・・・・・ナリナぁ。」
ルウが口を開いた。
「なあに?ルウちゃん」
ナリナは自分を呼ぶ声に優しく微笑みながら答えた。
「・・・・あ・・アタシ勝ったよね??」

「うん。倒したよ、すごかったよ。大分、無理させちゃった・・」

「やったぁ。何かね・・体が勝手に動いたの・・」
ルウは、途切れ途切れ言葉を口にした。顔をゆっくりとあげて、
ルウはシムジンに問いかけた。
「シムジンさん。・・・・中隊に入れさせてもらえますか?」
シムジンはルウの問いかけにゆっくりと答えた。
「・・・ルウさん・・・。
・・・・解りました。貴方はこの世界に来たばかりなんですよね・・・・
素人でここまで強い人はいません。
あの狼だって、普通でも五回ほど斬らないと倒れませんし・・」
「ありがとうございます!!
わ、、私頑張ります!!」
ルウの顔が一気に明るくなった。
ナリナも「やったね」
と祝福してくれた。
ルウは、ナリナに向けて「ありがとう、ありがとう」
と、嬉しそうに何度も何度も言った。
「喜んでもらえて嬉しいよ。
・・・・・・・・でもな、ルウ。」
ミツはシムジンの隣でたったまま、ルウに言った。
ルウは、首をかしげながらミツの次の言葉を待った。
「・・・・・・・ふぅ。ルウさん」
シムジンも腕を組んでうつむいたまま言った。













「この中隊、まだ仲間が少ししか居ないんですよ」





「は?」















ルウは、あまりにも急なことにまぬけな声をだした。
固まっているルウを見てミツはため息をついた。
「この中隊は、国王が国のためにって、この前できたばっかりなんだよ。」

「この前って?」

先週。」

先週!?

「そう、先週」
ミツは、また、ふぅ。ため息をついた。
驚くのも当然だよなと思ったのだった。
「・・・・・そっ・・それで今の仲間の数は?」
ルウは、今にも目から溢れそうな涙をこらえながら言った。
「えーっとな、・・・・・・・1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・6・・・7・・・・
ルウを入れて8人と、一匹だ」
「え、8人と一匹?」


最高人数は21人

はあ!?

今の人数との差があまりにも大きすぎると思ったルウはため息をついた
そのルウを見たミツは素直に「悪いな」と謝った。
「ああ、もう。何でこの人こんなに爽やかなの・・・」
ルウは近くにあった木の後ろに隠れて泣き出した。
「もう、ミツ!ルウちゃん落ち込んじゃったじゃないの!」
ナリナはそうミツに言い、ルウの隣で座った。
「ね、ね。ルウちゃんまだ時間あるし、仲間は見つければいいでしょ?
・・・・・それよりも今いる人たち紹介するよ!」
ルウはナリナを見ると「うん」と頷いた。
「ん。じゃ、いこっか!」
ナリナは、ルウの手と引っ張り走り出した。
「あっ、おい。ナリナ!!」

まだみんな広場にそろってないぞ!
っていうかその前に集合なんて聞いてないぞ、皆!
と、ミツは焦りながら叫んだ。
そして、指を軽く振り8人と一匹に広場へ来るように伝えた。
8人と一匹からの了解の返事がすぐに来たのでミツは安心してナリナたちを追った。
そして、一人残されたシムジンも三人の後を追った。




シムジンとミツが走っている中、ルウとナリナはすでに広場へついていた。
「あっれえ?まだ皆来てないのかなぁ・・」
ナリナは辺りを見回すと広場の中心にあるベンチに腰掛けた。
それはそうだろう、第一中隊の中でナリナは一番足が速かった。
セレサからここまででもみんな5分はかかるはずなのに
ナリナは二秒もかからずに来たのだ。
「まてまて、ここに私がいるだろう?」
「あっ、カレン様!」
「カレン様?」

広場の中心にあるベンチの後ろには大きな滝があった。
そしてその滝のうしろから人の声がした。
ナリナの知っている人らしく振り向きその人の名前を呼んだ。カレンと言った。
「そう。この人は第一中隊の一人、カレン・エディミアさんだよ」
「ほう。おぬしが新人さんかの?」
カレンと言った女性は、ナリナに向けられていた綺麗な紫色の目をルウに向けた。
「うわっ、・・美人・・・・・・」
ルウが言った言葉にカレンは、くすくすと笑い出した。
そしてうつむいて笑っていたカレンはまたルウに目を向けて言った。
「・・・・ふふ・・・・おぬしはなかなかいい事を言うな・・・・だがな・・・
・・・私はもう年寄り・・・100を軽く超えておるぞ・・」
「ええっ!100歳超えてるんですか!?
全然そう見えない・・・美人・・・・」
ルウは、頬に手を当ててカレンを見ていた。

その時、大きくがっしりしたドアが軽々と開いた。
ルウは、ドアの開いた音がした方を見た。
ドアから入ってきたその人は、ルウを見るなり綺麗に微笑んで見せた。
そしてそのまま、ルウの方へ歩いてきた。
「あ。ウル!!やっほ〜〜!遅いよウル〜〜!」
「ったく・・・。ナリナが早いんだよ、10kmを十秒で走る奴がどこにいるのさ」
「ここに」
「・・・・・ああ・・。いたな・・・そこに・・・・」
ナリナとウルは奇妙な会話をしながらルウを見た。
「ルウちゃん!この人はウル!
たまに、セレサの森のどっかで仕事サボって寝てるんだよー。」」
「ちょっ・・・何でそれ知ってるのさ!!」
「・・・・・・・ふふふ・・・すでに調査済みナノデス・・。」
「げっ・・・マジかよ・・・」
ルウの第一印象は、
金髪に少し茶色とオレンジ色が混ざっている髪にルウを見る
金色の目。・・そして首元にあるゴーグルのようなもの。
つまりかっこよかった。
ルウがウルに見とれていると、頭上から翼の動く音がした。
「ん?」と、ルウが上を見るとそこには白く大きな鳥の姿があった。
鳥!?あっ・・あの鳥も中隊の・・・・?」
ルウがナリナに聞くとナリナは笑いながら答えた。
「あはは〜っ、あの子もそうだけど・・・・・・ほらあの子の背中の方を見てごらんよ!」
ナリナは、鳥の背中を指差した。
「え?」
ルウは、ナリナの指差した方を見た。
「・・・・・・?」
ぼんやりしてはっきり見えなかった。
何度も何度も目をこすりながら見た。
人の姿が見えた。
・・・・・・人!?人が乗ってる・・・しかも女の子・・・」
女の子を乗せた鳥は、ゆっくりとルウの元へ降りてきた。
背中に乗っていたそのこは鳥から飛び降り、ルウ達の元へ走ってきた。
「ナーリナッッ!!この人が新人さん??
私、アルナっ。11歳!
で、この子はクイリ〜」
「クイリィ♪」
クイリ〜と言った鳥はアルナの後ろにくっついていた。
「私の一番のお友達なの〜」
長セリフを言い終えたアルナはにこっと微笑んだ。
ルウは、長セリフ辛くないのかなと思いながら話した。
「アルナって言うんだ、私ルウ!ヨロシクねっ11歳!?私より二歳年下・・・
クイリ〜って言うんだ〜っ可愛いねえ」
自分の長セリフに疲れ、息を整えていると、ミツとシムジンが息を切らせながら走ってきた。
「あー、もう!ミツ、シムジンさん遅ーい!!」
「ナリナが早いんだよ!ちょっとはこっちのことも考えろ!!」
「こーゆー足に生まれたんですぅ!」
ミツとナリナが言い争いをしている中、すでにシムジンは脱落していた。
もちろんシムジンお決まりの変なポーズで
そんなシムジンを軽く無視してミツは言った。
「はあっ・・それより・・・あと二人が来てないな・・・・」
「あっ、本当だー」
本当だ・・、今いる人数で6人・・二人足りない・・

みんながまだかまだかと待って十分が経った。
そんな時、ドアが重たそうに開いた。

「随分と遅くなったみたいだね。もう皆来てるよ」
ドアを開けて入ってきた二人の少年は
まつげが長く少年とは言わず、少女と言った方がいい。
髪は普通よりも少し長く、巫女のような飾り物をつけた少年と
前髪は後ろの髪より少し長い可愛らしい少年だった。
「うわっ、本当だ・・・どうしよう・・・ナル。遅刻しちゃったよ・・」

美少年です。特に可愛い方は管理人大好きです(腐


「あー・・・来たな・・」
ミツは「ぬけるー・・」と言いながら二人を見た。
美少年二人は、ルウを見ると駆け寄ってきた。
そしてルウの前に立つと、美少年の一人がにっりと微笑んで言った。
「やぁ。ボクはユウ。
キミ・・・・ミツの言ってた新人さんだよね。
ボクは風を操る風のパドロスだよ。ヨロシクねっ////」
少し赤くなりながら話しているユウを見てルウは
(ああ、だからみんな気がぬけるのね・・・。かわいーっっ!)
と思いながらも自己紹介を始めた。
「えっと、私はルウ。
私は・・・・何のパドロスなんだろう・・・・まあ・とにかくヨロシクねっ//」
ルウは、ユウに精一杯の笑顔を向けた。
「あっ・・//うっ・・・うんっ・・・///」
ルウの笑顔にまたもユウは赤くなった。
そして赤くなっているユウにつられてルウも赤くなった。
その光景を見ていた6人は(ああ、この子達ったら)
とか思っているなんてことは絶対無い。というか絶対言わない

固まっていたもう一人の美少年ははっと我に返った。
そして、自分の自己紹介を始めた。
「もういい?ボクはナル。
水を操る水のパドロスさ。よろしくね、ルウ。」
ナルは少しだけ微笑むと、手の指先から水を固めたボールを作って見せた。
「うっわあ!すごーい!!
水を操ってるんだぁ!」
ルウは、ナルが作り出した水の球を見ながら笑った。
「・・・・と、言うわけでルウを入れてこの八人と一匹で第一中隊のメンバーさ。
ヨロシクな、ルウ。」
「うんっ!よろしくお願いします!」

ルウは深く頭を下げた。
その瞬間、ルウは意識を失った。