私だ
私がいる
黒い髪
紅い服
赤い瞳・・・・・・・・
髪の色や目の色は違っても、束ねた髪の形や顔の形が、驚くほど私そっくりだった。
”虹色の笛”
「ねぇ。あれって、屡雨の生き別れの双子??」
千秋は、首をかしげながら言った。
似ているのだ。
彼女は、屡雨に。
しかし、屡雨は聞こえてないのか
ただ、ただ少女を見ていた。
「・・・・・・・・・」
びくっ
少女がこちらを見た。
冷たい、冷たい瞳だった。
屡雨は、身体を強張らせた。
そのとたんネックレスが、光った。
「え?」
屡雨は、驚いてネックレスを見た。
光っている、虹色に。
ネックレスは、あの日から変化はなかった・・・・・はずだ。
しかし、今初めて見つけた時のように
虹色に光っている。
(どうなってるの・・・・・・・?)
彼女が、このネックレスに関係があるのだろうか
そう思った。
ピカッッッッ!!!!!
ネックレスが光ると、
辺りが真っ白になった。
隣にいたはずの千秋もいない。
「うそぉ・・・っっ!!」
「キミか・・」
「誰っっっ!!?」
人の声が聞こえた。
屡雨は、バッッ振り返った。
「あ・・・。あなたは・・・・」
屡雨と、共に先ほどの少女がいた。
「私は、冷菜。君は?」
冷菜と、名乗った少女は、一歩一歩屡雨に近づいてきた。
屡雨は、一歩一歩後ずさりながら答えた。
「わっ・・・私は屡雨よ・・・っっ」
冷菜は、少しだけ・・微笑んで言った。だが瞳だけは、冷たく鋭い。
「そう・・・。屡雨・・・・君が”アレ”を、持ってるのか?」
「”アレ”?」
屡雨は首をかしげた。
もしかしたら、と思ったが
思いたくもなかった。
「アレって・・・まさか・・・・・これ?」
屡雨は、首にかけてあるネックレスを手にかけた。
「そう・・・・・。」
「これに何があるって言うの!!??ただのネックレスじゃないっっっ」
冷菜は、そうとう驚いたのか言った。
「屡雨・・・キミはこれを知らないの??」
「知るわけないでしょ!!!あなたはこれの何を知ってるわけ!!???」
冷菜は軽くため息をつき、話し始めた。
「屡雨、君は100年前の話を知ってる?」
屡雨は、首をかしげた。
「えっ・・・・・。100年前の話・・・・?」
「・・・・そう。百年前のあの出来事。」
1人の巫女。
その巫女、沙耶が持っていた笛。
「君の持っているそのネックレスも
笛だったはず」
「あ・・・・」
屡雨は、自分が持っているネックレスを見た。
(・・・そうだ・・このネックレスも笛だった・・・)
「・・・・これ・・」
「そう、それは元々は笛だった。
君がそれを持ってから君の力で形が変わったけどね」
「え?どういうこと?私の・・・力?」
「そう」
「どうして?私に力が??なんのことよ」
屡雨は、冷菜を睨みつけた。
「いいかい?ちゃんと聞いてよね。
キミはー・・・」
屡雨は、冷菜を見つめて思った。
(私に何の力があるの・・?)
「キミにはー・・」
「私・・には?」
「キミは・・・巫女の沙耶の生まれ変わりだ。」
「え・・?」
(私が巫女の生まれ変わり・・・・?)
屡雨はわけがわからず首をかしげた。
冷菜は「やっぱりわかっていないようだね…」と
ため息をついて屡雨を見た。
「まったく・・・キミがこの世界にいるせいで沙耶の笛が
気配を消していたんだよ」
「は?私がここにいるせいで・・?何いってんのこの人。」
屡雨は、冷菜の言っていることが理解できず何いってんのと冷菜を見た。
「分からないなら教えてあげるよ。」
冷菜は、屡雨に近づき手のひらを屡雨のおでこにあてた。
すると、屡雨の頭の中に(?)映像のようなものが浮かんできた。
お願いだから、一人にして・・・。
「ねぇ、沙耶ってば。」
「・・・・・・・・一人にしてよぉ・・・・・」
小さな声で言った。
「・・・・・・・・沙耶・・・・・・・?」
友香の足音が小さくなっていった。
(何・・・?この頭に流れてくる映像は・・)
「・・・あの巫女、わざと殺したんじゃない?」
「そうよ、あの子良い子ぶって・・・・・きっと笑って殺ってるに違いないわ・・!」
コソコソと大人の声が聞こえる・・・
聞こえてるわよ・・・そんなに言うのだったら堂々と言えばいいじゃない・・・・・
「あ!人殺し沙耶だ〜!」
(沙耶?・・・沙耶って巫女の沙耶のこと?)
外へ出れば男子からの聞きたくも無い言葉・・・・
・
・・・・・・・・もう、いやよ
バサッ
「?・・!どうしたの!?沙耶!!?」
私はとっさに部屋から出て走り出した
「沙耶っ!?」
友香が走って追いかけてくる
声をきらせながら
いやだ、嫌だ、イヤダ
もう・・・・・・イヤダ−・・・・・・
何もかもが・・・・・嫌いだー
感情が高まってくるー・・・・
自分でも何をしているのか、分からなかった
自然と足が走り出していた
ふわりと・・・体が軽くなった
「え」
「沙耶ぁっ!!」
気が付くと私はがけっぷちに立っていて足をすべらせ
落ちていった
屡雨は我にかえった。
(あれ・・・は、100年前の沙耶さん・・・?)
屡雨は、冷菜が先ほどまで手のひらを当てていたおでこに手を当てた。
「さ。ここまでやったらわかるだろう?」
冷菜は「ふぅ」とため息をつき、屡雨を見た。
「私が・・・・、沙耶さんの生まれ変わり・・・・・」
「そう。わかった?」
「・・・うん」
屡雨は、ぼーっと冷菜を見てコクンとうなずいた。
「ちょ・・・、ちょっといい?」
「何?」
屡雨は、ふと疑問に思ったことを冷菜に言い始めた。
「その・・・この沙耶さんの笛を冷菜たちはどうして探しに・・?」
冷菜は、少しだけ目を見開き、「そうだね…」と言い始めた。
「私は『デス・ディアー軍』というところで仕事をしている
その軍のリーダーがその笛をほしがってる
だから私たちはその笛をさがしているんだ」
冷菜は少し目を伏せた。
また少しため息をつきキリっと目つきをかえて屡雨を見て言った。
「だから屡雨。キミのもっているその笛を私に渡してくれ」
屡雨は一歩下がって言った。
「い・・・いやよ・・・」
冷菜の目つきが変わった。
「そう、なら力づくでも持っていくしかないね。」
「いやよいや!絶対渡さない!!」
屡雨はネックレスを握り締めた。
「しかたない。少し我慢してよね」
「え」
冷菜が手のひらを屡雨のおでこ
に当てた瞬間
屡雨の目の前が真っ暗になった。
記憶が、ない――――・・・・
―――あとがき―――
はい。やっと屡雨さんと冷菜さんがそろって
本題へ。
次回は、ほかのキャラクターも出てきます。